とおいとおいむかしのおはなしじゃ。あるところに”男ばかりの村”と”女ばかりの村”があったのじゃ。どうしてかと聞かれてものぅ…なにぶんとおいとおいむかしのことじゃから、忘れてしもうたわい。
とにかくじゃ。この二つの村はお互いにずっと仲がわるくてな。わしもときどき見てはおったが、いつも争ってばかりおった。もともと男と女というのはたまにけんかするようにできておるらしいのじゃが、このときばかりは少々度が過ぎたようでな。若い者はみーんな死んでしもうて、”じいさんと男の子””ばあさんと女の子”だけになってしもうた。
あのときは、ほかの神連中から叱られて辛かったのう。さすがにわしもなんとかせんといかんと思って、2つの村をたかーい壁で囲んでしまうことを思いついたわけじゃ。太陽の光も届かんようにしてしもうたのはちょっときびしかったかもしれんが、人間達のために、わしは心を悪魔にしたのう。じゃが、ちゃんと壁の真ん中に天界まで届く塔を建てて見守っておったぞ。
すると両方の村から一人ずつの子供が塔に上ってきおった。どうやらそれぞれの村の代表としてわしに壁を壊してもらうつもりらしい。悪いがちょっと知恵と勇気を試させてもらったわい。けっして意地悪してるわけではないぞ。何度もいうが人間達のためなのじゃ。しかし2人とも結構がんばりおったわい。なつかしいのう…。
それからどうなったかは、今は言えんのう。聞きたければおぬしも塔の上まで知恵と勇気をもって上がってくることじゃ。楽しみに待っておるぞ。
from 太陽の神じゃ