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掘り出し:ボスキャラの巻

こんにちは。
「闘劇’10」カテゴリCの地方予選大会も順調のようで、決勝大会まで約1ヵ月ですね~
猛暑続きですが、スタミナをつけてアーケードでもアツく盛り上がっていきましょう!
さて、今回も“稼働後のこぼれ話”を開発の現場から発信します。早くもタブーに挑戦か!?ボスキャラクターの制作秘話を、おなじみアートディレクターの西村さん、ゲームデザインディレクターの山本さん両名にお伺いしました。

―早速ですが、変身前はイケメン!と評判の斎祀(以下サイキ)について、お話を聞かせてください。
山本:
このキャラはアッシュ編シリーズのボスとして、「まずは変身するということ、格闘技ではなく“特殊な力”を利用して闘う」という設定のキャラでした。特に“特殊な力”という点ではなかなかイメージが決まらず苦労しました。

―西村さん、サイキのエフェクト制作で苦労された点は?
西村:
必殺技の黒い炎の表現ですね。
このキャラはとにかく「嫌な奴」なので、モーションもエフェクトも「いやらしく」というのがリクエストでした。リクエストにあわせて、アッシュの炎とはちがう、粘性が高い液体をイメージして作成しました。相手を捕縛した後の折檻パンチなど、作っていながらほんと嫌な奴だな~と思っていました。
山本:
「いやらしい」キャラをアクションで表現するのはかなり難しかったのですが、攻撃エフェクトと合わせて演出することで、やっと「いやらしい」表現が実現できたと思います。

<変身後サイキの習作>
20100819_after.jpg

―そうなんですね。それでは、超必殺技についてはどうですか?
西村:
かなり開発スケジュールがギリギリというところで、「全画面攻撃はやっぱりいるよね」ということになり焦った記憶があります。サイキステージの凝固しきっていない熱い溶岩の様な地面はこの必殺技で熔解したため・・・なんて勝手な妄想をしながら作成しました。
山本:
そうですね、KOFシリーズのボスの特徴として「全画面攻撃はまさにボスらしい」という意見で急遽採用になりました。

―その他、制作上のこぼれ話的なものはないですかね?
西村:
あ、ほんとにちょっとした余談ですが…作成中は嫌な奴の表現を追求するあまり、いろんな箇所に炎を灯してみたことがありましたよ。炎をやたら盛ったらいいというわけではなかったです。
山本:
確か炎が付く前は黒い部分が白く表示されていたので、裸に靴下をはいてるという、変なキャラでした(笑)

―じゃ、開発中はKOF史上稀にみるキャラだったんですね。ボス戦まで来てふき出しそうになるくらいの面白キャラが出てきたら、闘う側もなえちゃいますからね。ボスらしい威厳のあるエッセンスも必要だから、作りあげるまではかなり苦労されたんですね。でも…そのキャラも一度は見てみたかったかもしれません(笑)
では、続いてデモムービーについてお話をお願いします。

西村:
サイキ、血の螺旋に狂うアッシュ(通称:黒アッシュ)にまつわるムービーは、ストーリー的にも作業ウェイト的にも非常に重い部分であったので気合の入ったものになっています。
変身前のサイキの顔はアッシュと瓜二つの設定ですが、担当デザイナーのこだわりでアッシュは丸め、サイキは“シュっとした”※、スマートな輪郭にするなど描き分けています。
(※「シュっとした」とは、関西弁で「カッコいい」「あかぬけた」という意味で、褒め言葉として用いられます。決してスプレーをシュっとした様な顔ではないですよ。)


<変身前サイキのデモラフ>
20100819_boss_%E6%A8%AA.jpg

20100819_boss.jpg

西村:
担当デザイナーは初めてのHDサイズのムービー作成に毎日奮闘していました。黒い炎の動きや表現にこだわり、日々黙々と黒丸を描き続けたり―
血の螺旋に狂うアッシュに勝利した後のムービーで気を取り戻したアッシュが振り返るカットがありますが、全てを終えて初めて素顔の表情を見せたかのように微笑むアッシュなど、厳しいリテイクを経て完成したムービーなんです。

―うーん、スゴイ長かったですけど…該当箇所が容易に頭に浮かびますよ。注文の多いところだったでしょうね。ちょっとしみじみしちゃいます。
西村:
yuzukoさん、またまた余談なんですが、変身前のサイキの「無能なのな」と言うセリフの語感が気に入っていて、流行らせようと社内で使っていたのですが、あまり浸透しなかったです。(笑)サイキのセリフはキャラのイメージ通り、どれも「サイテー」で非常に気に入っています。
山本:
キャラのイメージは台詞が大事なので、実はネットでよく「汚い言葉」を検索していました。印象に残っているのは、「所詮はゴミだな」というセリフです。そんなこと真正面から言われたらへこみますよ...ほんと嫌な奴です。

20100819_win_saiki.jpg

―西村さん、山本さん、どうもありがとうございました!サイキが発するサディスティックな台詞はパンチがきいています。ホントに「嫌な奴」の表現が如何に難しいか―改めて勉強になりました。私が思う「嫌な奴」は、やっぱ“KY”でしょうか?そうならないように気をつけなければ。おっと、妙に話がそれてしまいそうになったので、もっともっと聞きたい事はあるのですが、今回はこれくらいで。
では、次回も開発の現場から“掘り出し”情報をご提供しますよ。どうぞお楽しみに!

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