「暫烈拳！！」 リョウの叫び声と同時に無数のパンチを受けた男の体は道場の壁に叩きつけられた。 受け身を取る余裕のないまま、壁に叩きつけられた男は小さく唸った後、動かない。 「よし、次！」リョウは緩んだ帯を締め直しながら叫んだ。 しかし、誰もリョウに挑むものはいない。見渡すと男が3人床に倒れたままだ。 「あ、あれ？！まずいな〜、少しやり過ぎたか」 頭をかきながらリョウは倒れたままの3人を見回した。 「つい、熱くなり過ぎたか…。次の大会の事を考えたのがまずかった」 しきりに反省するリョウ。5分後、門下生達が帰った後の道場にリョウは一人座っていた。 「おれはもっと強い相手と闘いたい。道場も大事だが、今は己を試す事を優先したい」 そこへ、ユリが叫びながら飛び込んで来た。 「お兄ちゃん、KOFへの招待状が届いたよ。今晩はご馳走だよ！」 そういい残し飛び出して行った。 ユリが置いて行った封書を手に取ったリョウは嬉しかった。 大事な招待状を神棚に祭り、手を合わせてリョウは思った。人生これ全て修行なり、と。