我々の生きる時空とは似て非なる、彼方なる地の物語…。
この世界の東の果ての小さな島国には、この世の森羅万象を操るという −黄金城− の伝説がある。しかし、その城を見て生きて還った者はいない。混乱の戦国、破壊と殺戮でこの地を蹂躙した時の覇王は、策謀の末黄金城を呼び出すことに成功したが、城の封印を護る −己(こ)− と呼ばれる一族により、城もろとも時空の狭間に閉じ込められてしまう。
三百年の時が流れた。封印の力は弱まり、邪悪なる覇王の復活が迫る…。だが、覇王復活をいち早く察知した者たちがいた。時は凶明十五年(洋方太暦一八八二年)、幕府も文明開化もなく、ただ数百年の戦乱が続くこの国の名は…時叛宮(ジパング)!