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今から1500年前、ここには西ゴート族が築いた城砦があった。
今から800年前、ここはカタリ派がアルビジョワ十字軍を迎え撃った激戦の地となった。
今から650年前、ここを黒死病の猛威が通りすぎていった。
今から500年前、ここにどこからともなく風変わりな一族がやってきて住みついた。
今から400年前、ここへ魔女狩りの波が押し寄せてくるのに合わせて一族は姿を消した。
そして今、その一族の末裔のひとりが、ここに立っている。
その一族の名はベアールという。
ローマよりも古いケルトの系譜に連なる、それはそれはとても古いドルイドの血であった。