「ふんっ」
ダーン!
道場でもひときわ目立つ大柄な男は、オリンピックの代表選手を軽々と投げ飛ばした。
「今日はこれまで!」
「ありがとうございました!」
大柄な男は柔道着を脱ぎ、巌の様な肉体から滴り落ちる汗をタオルでぬぐい始めた。
と、その時・・・
「よう、久しぶりだな大門!」
「紅丸ではないか!」
「コーチも大変だな・・・いや監督だったっけ?」
二人は道場を出て、ベンチに座り、話し始めた。
「・・・紅丸、その様子は、昔話をしにきたわけでもあるまい」
「まあな・・・実はこれが来た」
紅丸はおもむろに封筒を差し出した。
「これは・・・キング・オブ・ファイターズの大会招待状か・・・」
「ああ、そうだ。単刀直入に言うぜ、大門。お前も出場してくれ」
しばらくの沈黙の後、大門は口を開いた。
「紅丸・・・わしは・・・」
「分かってるって。京だろ?」
「うむ・・・」
「じゃあ、京が、大会に出場するって言ったらどうだい?」
「京が大会に!?おぬし京と連絡がとれたのか?」
「ああ、電話で話しただけだがな・・・日本にいるらしいぜ。今回、大会に正式出場するそうだ」
「うむ・・・」
「もう一度組むかい?大門?」
「・・・紅丸。案内してくれ」
「そうこなくっちゃな」
月明かりが照らす公園のベンチに、真吾は落着かない様子で座っていた。
「草薙さん。こんなとこで待ち合わせしなくても・・・」
あたりに人の気配はない。真吾は正直言って怖かった。真夜中の公園にたった一人だけ・・・
「ああ、もう、12時過ぎてるよ・・・草薙さん、ホントに来るのかな・・・」
月を仰ぎ見ながら、つぶやいた・・・その瞬間、背後に人の気配を感じた。とっさに後ろを向く。
「・・・なんだ・・・気のせいか・・・」
「真吾」
「うわっ!」
名前を呼ばれて、真吾はあわてて前を向いた。そこには、真吾が会いたくて会いたくて仕方のなかった男の姿があった。
「草薙さーーーーーーーん!」
京は、喜びのあまり飛びつこうとした真吾を片手でいなす。勢い余った真吾は、顔面から見事に着地した。感動の再会はそれで終わりだった。鼻をおさえて立ち上がる真吾に、京は苦笑しながら言った。
「・・・まったく。相変わらず変わってねえな」
「いたた、草薙さんこそ!今まで何してたんですか!心配したんですよ!」
「まあ、いろいろとな。で、真吾、紅丸は?」
「はいっ!紅丸さんはもうそろそろ来ると思います。・・・あっ、来ましたよ!」
月の光に金髪を輝かせながら紅丸が歩いて来る。その後ろに、大柄な男がいた。
「あ、あれは・・・」
京は驚いた。
「京、久しぶりだな。土産といってはなんだが、大門を連れてきたぜ」
「紅丸・・・大門・・・」
「久しぶりだな、京。大変だったようだな」
「まあな・・・」
「まあまあ、そんな深刻な顔すんなよ二人共。それより、京、伝言があるぜ。お前ユキちゃんとこに顔出してねえだろ?心配してたぞ。」
「ユキが?ああ・・・そうだな。これが終われば・・・」
「ったく・・・お前はどうして・・・まあ、いい。で、だ・・・お前のこの押しかけ弟子はな、この俺が面倒見てやってたんだぜ。まあ、こう言っちゃあ何だが、昔より少しはマシになってると思うぜ。」
「少し?少しってヒドイですよ、紅丸さん!」
どっと笑いが起きたが、すぐに空気が変わった。
「京・・・分かるか?」
「ああ、・・・囲まれたようだな・・・3、4、5人もっといるのか」
「むう・・・」
京、紅丸、大門の三人は、先程までのなごやかな雰囲気から一変して、急速に闘気を高めている様子だ。ただ一人、真吾だけは訳が分からずオロオロしている。
「あ、あの・・・皆さんどうしちゃったんですか?」
京はグローブをつけなおしながら、叫んだ!
「久しぶりにひと暴れするか!!紅丸!大門!」
「ああ!日本チームとしてな!!」
「うむ!」
京、紅丸、大門は一斉に闇に向かって走り始めた。
「うわあーーーみ、皆さーん!僕を置いてかないでくださいよーーっ!」
EOLITH CO.,LTD.2001
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