皆様、はじめまして。
家庭用『KOF XII』ディレクターの秦泉寺と申します。
ゲーム制作ディレクション全般と、テクニカルディレクターをやっています。
さて、今週からしばらく家庭用『KOF XII』の追加要素についてお話しさせていただこうと思います。まずは、家庭用追加キャラクターのエリザベートについて。
エリザベートと言えば、光を用いた武術「光拳術」の使い手で、光のエフェクトが特徴的なキャラクター。この光のエフェクト、前作『KOF XI』ではこんな感じです。
家庭用『KOF XII』の開発にあたって、開発チームの中で、エリザベートの光のエフェクトを「物」っぽく見せずに表現することは出来ないかという話が持ち上がりました。アートディレクターは、当初「相手とエリザベートが光で照らされる表現のみで表現を行おう」と考えていたようです。しかし、エフェクトデザイナーが試行錯誤した結果、打撃系の技などは絵としてパンチが弱く寂しい仕上がりになりました(通常投げにはこの時期の表現が採用されています)。
このままではダメだ、何か「物」には見えない質感が必要だ、とネタ探しに翻弄。光に関する映像資料、文献などを読みながらアイディア出しを行い、試作を重ねる中で、属性を感じさせるようなディティールは使わない「純粋な光だけの塊」に、眩しい物を見た時に目に残る焼きつきを盛り込もうという方向性が見えてきました。
先ほどの『KOF XI』の画像を見ていただくと、光のエフェクトにキラキラとしたものが混じっているのが見て取れると思います。『KOF XII』では、アテナのエフェクトもキラキラしていますね。エリザベートの光のエフェクトでは、こうした「キラキラ」に限らず金属や水など、何らかの属性を感じさせる表現を排除しています。さらに、エフェクトの継続時間を他のエフェクトよりも長めにすることで目に残る眩しさを表しました。
今週はエリザベートのコンボムービーをアップしていますので、エフェクトがどのような仕上がりになったか、是非確認してください。
次回はもう一人の追加キャラクターであるマチュアの紹介をしようと思います。
それでは、またお会いしましょう。