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灰色の空から涙(雨)は止め処なく流れて落ちる。
白い前髪の男は、雨にうたれ続けていた。
「ここに居たのね」傘を差し向けながらアンは言った。
「ソワレ達が心配していたわ。戻りましょう」
「まだ…まだ此処にいる。先に戻ってくれアン」
「アルバ……解ったわ」
1人になったアルバ。
<あの時、あんた1人を行かせるんじゃなかった…。フェイト、俺はどうしたらいい…。
ダウンタウンがあの男によって支配されて行くのを、只見ているだけなのか…>
雨は少し小降りになってきたようだ。アルバは空を見上げた。
「俺はもうあんたに守ってもらう年じゃないな」
まだフェイトに甘えてしまう自分をアルバは笑った。
「自分の手で、納得のいく決着をつける事にするよ。
あんたの教えはちゃんと守るから安心してくれ」
そう言い残してアルバは歩き出した。危険な交渉をこれから行うために。
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