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時計は夜の11時を回っていた。
静まり返ったオフィスに一箇所だけ卓上ライトが照らし出すデスクがあった。
デスクの向こう側に、その主らしき人影があった。
ネクタイを緩めながら、デスクに戻った影の主の顔がライトに照らし出された。
セスはさめたコーヒーを一口飲むと、山積みになった書類を見た。
「膨大だな……」
自分を宥めるように呟き、一枚の写真を手に取った。
写真には1人の男が写っている。
「地獄の処刑人と呼ばれるのは、この首の傷のせいか。フェイトを失った以上、こちらも動くしかない」
静かなオフィスにFAXの受信音が響く。
FAXから吐き出された報告書には今回行なわれるKOFに「アデス」が絡んでいる事が記されていた。
「フフフ、願ってもないチャンスが向こうから転がり込んで来たな」
セスは椅子へと腰を下ろしながら呟いた。ふと目線は家族の写真へと移った。
「今回は危険な仕事になりそうだよ・・」
時刻は深夜2時を回っていた。セスのデスクのライトはその晩消える事はなかった。
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