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日が傾き始めた時刻、すれ違う人もないままマキシマは石の門を潜った。
マキシマの訪れた場所は、墓地だった。
幾つもの墓石が夕日に染められて行く中をマキシマはゆっくりと歩いて行く。
ある墓石の前でマキシマは立ち止まった。
墓石の前には枯れた花が残っていた。それは数ヶ月前にマキシマがたむけた花だった。
「よう、また来たぜ」
墓石の前にしゃがみ、枯れた花の横に新しい花を置いた。
「本当は、奇麗な女性が花をたむける方が嬉しいんだろう」
マキシマは親友の墓石に笑いかけた。
静かな時間が流れる中、墓石の前に佇むマキシマ……。
「それじゃ、俺は帰るよ」
マキシマは墓石を撫でた後、立ち上がった。その時、風が吹いた。
木々が揺れその音はマキシマにはこう聞こえた。
<マキシマ、俺も楽しかったよ>
「また、来るぜ。」
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