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「リム先輩!御疲れ様でーす」
頬を赤らめた少女から白いタオルが投げられた。
フワフワと落ちて来るタオルを受け取った瞬間、黄色い歓声が道場に響いた。
「相変わらず、モテるわね」
笑いながら近寄って来たのは対戦相手を務めた親友のソンミだ。
互いにジャレ合っているリムとソンミ、その動きに比例して黄色い歓声が発せられる。
そこへ師匠のキムから呼び出しがかかった。
「チェ・リム参りました」緊張のあまり少し声が上ずっている。
「呼んだのは、私の代わりに出場して欲しい大会がある。どうだ、頼めるかな?」
一瞬、リムの瞳孔が開いた。
「は、はい!お引き受け致します」
「そうか、では、今週末に出発してもらう。準備をしてくれ。以上だ」
立ち去るキムの背に深々と頭を下げるリム。
「やったね!リム!世界デビューだよ」ソンミが話しかけるが、反応の無いリム。
「…キム先生の代わりって……もしかして…あの大会に……わたしが…出るの…」
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